「超」「スーパー」「ハイパー」「ウルトラ」結局どれが一番強いのか

スーパーマーケット、ハイパーリンク、ウルトラマン、メガドライブ、超合金。

日本語の中には「スーパー」「ハイパー」「ウルトラ」「メガ」「超」があちこちに登場する。商品名などで並んでいると、なんとなく強さの順番まで決まっていそうに感じる。「スーパー」より「ウルトラ」の方が強そうだし、「メガ盛り」より「ギガ盛り」の方が量が多そうな気がする。

実際に辞書や単位の定義を調べると、この序列は部分的にだけ存在する。スーパーとハイパーならハイパーの方が強く、メガとギガならギガの方が大きい。ただし、ウルトラまで含めた共通の「強さランキング」はない。

ハイパーリンクの「ハイパー」のように、そもそも強さを表していない使われ方もある。似た言葉に見えても、もともと一つの系列として作られたものではないからだ。

「超」とスーパーはかなり近い

「超」だけは漢字で、スーパー、ハイパー、ウルトラはカタカナだ。ただ、見た目ほど仲間外れではない。

日本語の「超」は、名詞の前について「普通の程度を越える」「それ以上である」という意味を表す接頭語として使われる。「超高速」「超満員」などがその例で、「超うれしい」のように「とても」に近い強調にも使われる。

英語の super- にも「以上」「過度」「超過」といった意味がある。supersonic が日本語で「超音速」と訳されるように、「基準を越える」という点では「超」とかなり近い。

ただし、「超=super」と一対一で対応するわけではない。ultrasonic も日本語では「超音波」と訳される。日本語の「超」は、複数の英語の接頭辞を受け持つことがある。

super- と ultra- はラテン語、hyper- はギリシャ語に由来する。意味にも、

  • super-……上に、越えて
  • hyper-……超越して、過度に
  • ultra-……範囲や限界を越えて、極度に

といった違いがある。

超・スーパー・ハイパー・ウルトラは、もともと「弱・中・強」の段階として用意された言葉ではない。由来も意味の幅も異なる言葉を、日本語ではどれも「普通を越える」「ものすごい」といった場面で見かけるため、同じ系列のように感じられる。

スーパーとハイパーだけなら順位がある

ここは意外にはっきりしている。

デジタル大辞泉は「ハイパー」を「スーパーよりも強意」、精選版日本国語大辞典も「スーパーよりもさらに強い意味」と説明している。

スーパーとハイパーの二つだけを比べるなら、ハイパーの方が強いという序列は辞書上も成り立つ。

ウルトラまで加えると、この序列は続かない。「ウルトラ」は「過度の」「極度の」「超」を表す言葉で、意味の領域はハイパーと重なるものの、ハイパーより上とも下とも定められていない。

作品や商品で「ウルトラ」を最上位に置くことはできるが、それはその作品や商品の中で決められた順位である。「ウルトラ」という言葉自体が、ハイパーより強いわけではない。

「超音速」と「超音波」は基準が違う

super-、hyper-、ultra- の違いがよく表れているのが、同じ sonic と組み合わせた言葉だ。

英語日本語対象
supersonic超音速速度
hypersonic極超音速速度
ultrasonic超音波周波数

supersonic は音速を超えた速度を表し、hypersonic はさらに高速の「極超音速」を表す。この二つは同じ速度の話なので、super より hyper の方が上の領域にある。

ultrasonic はその先の速度ではない。日本語では「超音波」と訳され、人の耳に聞こえる範囲より高い周波数の音を指す。

supersonic と hypersonic は速度を比べているのに、ultrasonic は周波数を表している。同じ sonic が付いていても、三つを「スーパー<ハイパー<ウルトラ」と一列には並べられない。

さらに面白いのは、日本語にすると supersonic は「超音速」、ultrasonic は「超音波」になることだ。英語では super と ultra という別の接頭辞なのに、日本語ではどちらも「超」に収まっている。

日本語の「超」は、意味の違う複数の英語の接頭辞をまとめて飲み込む、懐の広い(あるいは大雑把な)言葉でもある。

メガとギガは数字で決着がつく

「メガ」「ギガ」も、今では「ものすごく大きい」という感じで使われている。「メガ盛り」「ギガ盛り」などが分かりやすい。

こちらは国際単位系(SI)の接頭語として使う場合、倍率がきっちり決められている。

接頭語倍率
キロ1,000倍(10³)
メガ100万倍(10⁶)
ギガ10億倍(10⁹)
テラ1兆倍(10¹²)

同じ単位について比べれば、ギガはメガのちょうど1,000倍。ここだけは語感ではなく、数字として明確な大小関係がある。

「ギガ盛り」が「メガ盛り」の1,000倍になるわけではない。産業技術総合研究所も、本来はSI接頭語である「メガ」が「メガ盛り」に使われたり、「ギガ」がスマートフォンの通信量そのものを指すようになったりしている例を紹介している。

厳密な倍率を持つ言葉でも、日常語や商品名に入ると「とても大きい」という印象の方が前に出る。それでも「メガ盛り」と「ギガ盛り」が並んでいれば、実際の単位でもギガ>メガだけに、ギガの方が大きそうに見える。

順位があるのは一部だけ

すべてを貫く「強さランキング」があるわけではない。

スーパーとハイパーなら、辞書上はハイパーの方が強い。メガとギガなら、SIではギガがメガの1,000倍。ウルトラまで含めた共通の順位はない。

似たレベル名が順番に増えていったというより、もともと別々の意味や由来を持つ言葉を、私たちが「なんとなくすごそうな言葉」として同じ棚に並べている。

順位がありそうなのに、きれいには決められないのはそのためだ。


参考資料

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