スキンケアとアンチエイジングで本当に大切なのは?UV対策と保湿は役割が違う

スキンケアの基本として、よく挙げられるのが「UV対策」と「保湿」だ。

米国皮膚科学会(AAD)も、アンチエイジングのスキンケアを始めるなら、まず日焼け止めと保湿剤を使うことを勧めている。

なぜ、この2つなのだろう。

UV対策について調べると理由は比較的はっきりしている。紫外線は日焼けやしみの原因になるだけではなく、長年浴び続けることでしわやたるみなどの「光老化」を引き起こすからだ。

では保湿はどうだろう。人間の肌にはもともと水分を保つ仕組みがあり、皮脂も自然に出ている。それでも外から保湿することで、UV対策と同じように将来の肌老化を防げるのだろうか。

結論からいえば、UV対策と保湿はどちらも大切だが、役割はかなり違う。

光老化を防ぐという意味でより直接的なのはUV対策だ。一方の保湿は、角層の水分状態を整え、乾燥しやすい肌のバリア機能を支えるための基礎的なケアになる。

ここでいうアンチエイジングは、年齢そのものを止めたり肌を若返らせたりする意味ではない。紫外線などによって上乗せされる変化を減らし、年齢を重ねても肌をできるだけ健やかに保つという意味で使っている。

目次

UV対策は光老化の原因に直接アプローチする

肌は年齢とともに自然に変化する。しかし、年を取った肌に現れる変化のすべてが時間の経過だけで起きているわけではない。

日本皮膚科学会は、通常の加齢による老化とは別に、長期間の紫外線曝露によって起きる変化を「光老化」と説明している。光老化は慢性的な紫外線傷害であり、加齢による変化に上乗せされるものだ。

分かりやすいのが、長年日光を浴びてきた顔と、ほとんど日光を浴びない場所の違いだ。同学会も、高齢者でも太ももの内側などには顔のような深いしわが少ないことを例に挙げている。

年齢そのものを止めることはできないが、紫外線によって追加される老化は減らす余地があるということだ。

AADも紫外線から肌を守ることをアンチエイジング・スキンケアの土台としている。そのため、しみやしわなどの光老化をできるだけ抑えたいなら、UV対策の優先度は高い。

ただし、UV対策は日焼け止めだけではない。帽子や衣服を使う、日陰を選ぶといった方法も含まれる。

日焼け止めを使う場合、AADではUVAとUVBの両方を防ぐ広域スペクトル、SPF30以上、耐水性のあるものを推奨している。屋外で過ごすときはおおむね2時間ごとを目安に、水に入った後や汗をかいた後にも塗り直す。

大切なのは紫外線を完全に避けることではない。日常の外出や屋外活動で受ける紫外線を、日焼け止めや衣服、日陰などを使って長期的に減らしていくことだ。

保湿は角層の水分状態を整える

では保湿は何のためにするのだろう。

皮膚の一番外側にある「角層」には、水分を保ちながら外からの刺激を防ぐ働きがある。角層では天然保湿因子(NMF)が水分を保持し、セラミドなどを含む細胞間脂質が水分が逃げにくい構造をつくっている。

つまり、人間の肌には最初から自分で水分を保つ仕組みが備わっている。

それでも保湿剤が役立つのは、その仕組みだけでは十分な状態を保てないことがあるからだ。

たとえば洗顔や入浴では、汚れだけでなく皮膚表面の油分も落ちる。特に熱い湯、長時間の入浴、洗浄力の強い製品、こすり洗いなどは乾燥を悪化させやすい。AADも乾燥肌では、ぬるめの湯を使い、入浴時間を短くし、刺激の少ない洗浄剤を選ぶよう勧めている。

空気の乾燥も関係する。湿度が低い季節や暖房を使う環境では肌の水分が失われやすくなり、加齢によって皮脂量などが変化して乾燥しやすくなる人もいる。

つまり「人間には皮脂があるのだから保湿は不要」と単純にはいえない。

保湿剤は、角層に水分を保持したり、皮膚表面を覆って水分が逃げるのを抑えたりすることで、こうした不足を補う。とくに乾燥しやすい状態では、角層の水分を保ち、肌のバリア機能を支える助けになる。

ただし、ここから「保湿を続ければ肌そのものの老化を防げる」と考えるのは行き過ぎだ。

一般的な保湿剤は紫外線への曝露を減らすものではないため、光老化を直接防ぐ対策ではない。また保湿だけで、加齢に伴う真皮のコラーゲンや弾性線維などの変化を大きく止められるというわけでもない。

AADが保湿剤をアンチエイジング製品として挙げる際にも、肌に水分を閉じ込めることで細かいしわを目立ちにくくすることを主な効果として説明している。

両者の違いを整理するとこうなる。

観点UV対策保湿
主な役割紫外線による皮膚ダメージを減らす角層の水分状態を整える
光老化との関係原因となる紫外線曝露を減らす直接の予防策ではない
乾燥との関係保湿ケアとは役割が異なる乾燥やカサつきを抑える
細かいしわとの関係紫外線による変化を長期的に抑える乾燥で目立つ細かいしわを目立ちにくくする
位置づけ光老化の予防健やかな肌状態を保つ基礎ケア

同じ「アンチエイジング」という言葉で語られていても、二つが同じ仕組みで老化を防いでいるわけではない。

皮脂が出るなら保湿しなくてもいい?

皮脂が多いことと、角層に十分な水分が保たれていることは同じではない。

肌の水分保持には皮脂だけでなく、天然保湿因子や細胞間脂質など複数の仕組みが関係している。そのため顔がベタつきやすくても、洗顔後につっぱる、カサつく、刺激を感じるといったことはあり得る。

一方ですべての人が重いクリームをたっぷり塗る必要もない。

乾燥感がなければ必要以上に油分を加える理由は乏しいし、ベタつきやすければ軽い乳液やジェルなど自分の肌に合ったものを選べばいい。AADもスキンケア製品は肌質に合わせて選ぶよう勧めている。

洗顔後につっぱる、粉を吹く、かゆみやヒリつきが出やすいなら、ベタつきのある肌でも保湿を試す意味がある。反対に重い使用感で不快感や肌トラブルが増えるなら、量を減らしたり軽い剤形に替えたりすればよい。

重要なのは、保湿剤を使うこと自体を目的にするのではなく、肌が無理なく健やかな状態を保てているかを見ることだ。

肌の老化を防ぎたいならUV対策の優先度は高い

スキンケア全体で考えれば、UV対策と保湿はどちらも基本的なケアになる。

ただし「これから増えるしみやしわ、たるみなどの光老化をできるだけ防ぎたい」という目的に絞るなら、UV対策の意味はより直接的だ。紫外線という光老化の原因そのものを減らせるからだ。

保湿はその代わりにはならない。一方で、乾燥した角層の水分状態を整え、肌を健やかに保つという別の重要な役割がある。

つまり、UV対策は光老化を減らすための予防。保湿は肌本来の水分保持を必要に応じて補う基礎ケアと考えると分かりやすい。

「スキンケアにはUV対策と保湿」と一緒に語られることが多いが、実は二つの目的は同じではない。その違いを知っておくと、必要以上に化粧品を増やすことなく、自分の肌に必要なケアを選びやすくなる。

参考資料

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